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KEYWORDS
「専門キーワード」は、デザイン学科教員がそれぞれの研究領域から専門用語を説明したものです。
デザイン史
モノの形、色、更にはライフスタイルの表現としてのモノの在り様をデザインであるとするならば、デザインは時代と共に変化する。その変化を促す要因は何だろうか。一つには、素材や技術、生産システムなどの客観的かつ外在的要因があり、一方に、デザイン創造の主体であるデザイナーの思想、感性などの主体的要因がある。いわゆる近代デザインが両要因の葛藤・統一をもって成立し(1920〜30年代)、互いの変化が相乗しつつ成熟期を迎え(60〜70年代)、いかにして80年代以後、自ら課した約束事(規範)を突き破りつつ現代デザインを用意したのだろうか。そのプロセスをアメリカと戦後日本のデザイン史の研究を通じて検証する。(栄久庵)
デザイン社会学
各時代は様々なテーマを持ちデザインは絶えず変化している。グローバライゼーションや環境問題、コミュニケーション・メディアの多様化、少子高齢化、階層分化、女性の社会進出、地域主義の台頭など現代が抱えるテーマは、人々の生活様式や生活意識、ワークスタイル、人とモノの関係、対人コミュニケーションの内容と様式に変容をもたらすことによって、デザインを大きく進化させつつある。社会的視点からデザイン現象を読み解くこと、ここにデザイン社会学の目標がある。この視点を未来に延長すれば、デザインの近未来の予測を可能にしてくれるかもしれない。(栄久庵)
環境心理学
会議テーブルの形状、デスクや椅子の配置はコミュニケーションの量と質に大きく影響する。住宅内の居室、水周り空間の配置は家族関係を円滑にも損ないもするだろう。近隣レベルでは庭付き持ち家の住宅地域と高層アパートでは、近隣関係、子供の育て方に違いがある筈だ。犯罪を防ぐ空間、誘発する空間。空間のヴォリューム、形状、構成はモノと組み合わされて人々の行動に影響する。複雑・高密度化した都市空間がその空間の有り様を通じ人間行動に及ぼす影響を具体的な事例を通じて検証、合わせてデザインとしての提案ができればと思う。(栄久庵)
モダン・デザイン
今もデザイン活動の根底をなしているモダン・デザイン(近代デザイン)とは何か。その美学の淵源はバウハウス以前、19世紀末から20世紀初頭にかけてのデザイン革新運動、なかでもデ・スティルあたりに求められよう。その特徴は、第一に啓蒙主義。デザイナーは大衆との関係においてその趣味嗜好をより高いレベルに引き上げる役割があるというスタンス、世直しとしてのデザイン運動である。第二に禁欲主義。装飾や模様の排除はここにその源を持つ。H.リードのいう近代抽象美術がその美学的基礎を提供していた。こうした意味におけるモダン・デザインが純化され頂点に達したのは1960年代の初めころではなかったろうか。グラフィックデザインが先陣を切り、建築、インダストリアルデザインがあとを追うようにその禁欲的美学から距離を置き始め、あるものは伝統に回帰し、また他のものは地域主義に漂着した。現代デザインはモダンの全称否定では勿論ないが、今日に到るその歴史はモダン・デザインからの乖離・逸脱の歴史として綴られよう。現代デザインはその包容力をもって豊かな展開を示しつつ、人類の文化的営為と接点をもてるようになったが、その根底にはデザインのインフラとしてのモダン・デザインがあることは忘れられるべきではない。(栄久庵)
ディマテリアライゼーションのデザイン
Dematerializationのデザインとはモノの過剰、或いは過剰感を失くす方向でのデザイン行為である。今日、われわれの生活はモノに溢れ、モノに窒息し、地球の温暖化などの環境問題に象徴されるように文明の存続すら脅かすほどになった。所有から使用へ、更に私用から共用への動き、要らないものは造らない、持たない、置かないなど消去法のデザイン(Negative Design)も、デザイン行為の一つである。作る場合も、目立たない自己主張しないデザインを考えてよい。更に言えば、見えるモノばかりを相手にするのではなく、眼には見えないシステム・制度のデザインも立派なデザインである。70年代に言われ始め、今も盛んな軽薄短小のデザインはディマテリアライゼーションの趣旨に沿うデザインだが、僅かに残された間隙にもモノの侵入を許すという皮肉な結果をもたらしている。「空間を守ることは生活を豊かにする」を基本理念とし、良い意味のモノ離れをすることは現代デザインの課題の一つではないだろうか。(栄久庵)
マス・カスタマイゼーション
エンド・ユーザーひとり一人のニーズの違い、特徴に部品の多様な組み合わせを通じて応えるモノ作り。あくまで量産部品の使用を前提にしている点は、洋服の仕立てなどの注文生産とは異なる。大量生産を基礎としてのオンリーワンの創造である。注文を受けてから在庫部品を使って造るので、売れ残るということはない。その意味では環境に優しいモノ作りでもある。量産部品の使用とインターネットの活用により、既にこの方式は多方面で展開されている。デル社のコンピュータをはじめ、リーバイスのジーンズ、バービー人形、眼鏡、腕時計、オートバイなど、個人の好み・ニーズに合わせて作る。これは少品種大量生産とも多品種少量生産とも違う、モノ作りの新しいパラダイムである。大きな弧を描くようにして、かつての自給・自足のクラフト的なモノ作りに「量産」を経由して回帰した観がある。消費者一人ひとりがデザイナーになったとも言えるが、デザイナーが不要になる訳ではない。まず最初に、素晴らしいデザインの原型がある。それを好ましいと感じた消費者が自分なりの変更をそれに加えるのが、マス・カスタマイゼーション(Mass Customization)のデザインだからである。(栄久庵)
科学リテラシー
この200年は、間違いなく科学の時代である。しかし、日本人の科学に対する好奇心、自然哲学や自然科学に対する理解はかなり低いと言っていい。それは、博物館へのリピーターが欧米に比べ圧倒的に日本は少ないことも物語っている。「科学リテラシー」とは全ての人が身につけるべき言語能力と、その言語背景にある「科学」という文化の有り様を身につけていることまでを含んでいる。(木村政)
サイエンティフィック・イラストレーション
サイエンティフィック・イラストレーションは、精確さを至上とし、芸術的試みは許されない分野である。事実と精緻さをとらえることが何にもまして重要で、美の追求は第一義ではない。そのほとんどは研究者の研究論文の図版、図解として、また博物館展示の基礎資料として描かれた後は、キャビネットの中へとしまわれてしまうことの方が多い。仕上げられたイラストレーションは精緻であることの永遠性と、永遠であるが故の豊かさを持ち続けられる芸術作品である。(木村政)
サイエンスコミュニケーション
サイエンスコミュニケーションとは、「科学を伝える」ことの総称として使われ、欧米では80年代から大学や大学院に専門コースが設けられるほど盛んになっているにも関わらず、日本ではほとんどサイエンスコミュニケーションを体系的に教育、促進する活動は確立していないのが現状である。しかも科学と芸術の融合から可能性を創り、アートフルなサイエンスの知性とセンスを持ったインタ−プリタ−やナビゲーターを育て、科学リテラシーを高めます。(木村政)
タイポグラフィ(typography)
型、形、文字、記号などを組み、記述することをいう。活版印刷術全般を呼んでいたが、現在では、記述する媒体が印刷物に限らず、電子文書や光情報等による組処理を必要とする媒体へと多様化している為、「文字を主要素に構成する事」の意味に移行している。また、映像技術を駆使し、動くタイポグラフィをモーションタイポグラフィという。デザインから見たタイポグラフィは、単に文字等を組むという行為だけではなく、内容に合った書体(タイプフェイス)を選定する事や、字間・行間・サイズ・文頭・句読点の概念等を充分に吟味し、美意識をもって構成する事が大切である。(中島)
視覚言語
ピクトグラムは古代より絵によって伝えようとした壁画や、岩に刻まれた絵や図形(petroglyph)に見られる様に、人が人に伝える為に何かを印す。その何かが第三者間で共通するイメ−ジを集約したモノが普遍化し、シンボルや記号、文字となっていった。同じ意味に理解できる事を言語と呼んでいる。言語には、ことばで表現するもの、音で表現するもの、光りで表現するもの、色で表現するもの、形態で表現するもの、書き記して表現するもの、等々、多様な言語がある。ピクトグラムやアイコンは描かれた像で意味を理解させる為の視覚言語である。(中島)
ピクトグラム(pictogram)
絵文字や絵ことばの事で、言語を絵姿に置き換えて意味を伝えるモノをいう。絵を文字の役割に使用し、具象を単純化して不必要な要素を省いた絵表示である。違う国の言葉や習慣を越えて瞬時に理解できる事が重要な要素である。(中島)
アイコン(icon)
情報を伝える為に絵姿に置き換えた像一般を指す。写真や絵、イラストレーションで表現された記号的な役割をもつ画像の事である。ピクトグラムがもつ瞬時に理解させる機能性より、親しみやすさを兼ね備えた二義的な効果に配慮している。多くはコンピュータ入力の際、画面上で記号化された画像をクリックし、情報を呼び出す為のシンボルとも呼ばれる。(中島)
インダストリアルデザイン
「工業デザイン」、「プロダクトデザイン」、「生産デザイン」などという言い方もある。翻訳や類似語で、ほぼ同義語であるといってよい。人々のためのよりよい「モノづくり」。私たちの生活環境にある様々なモノ=車、車両、情報機器、家庭用品、家具、ロボットなど、人に関る「モノ」の全てがテーマでもあるといえる。美しく、魅力的であることが必要条件でもあるが、常に時代の先端にあり、時代の問題を捉え、要求に応えるモノ・モノ環境を創造し具現化する行為である。(清水)
Industrial Design(ID)とは「量産」を前提としたデザインであり、見づらいものを見易く、使いづらいモノを使い易く、人と物と環境をより良くし、その時代に即した人々の生活・環境をより快適にして行くことをいう。よって生活の中の様々な問題に「気づき」、人を思いやる「心」を持って新たな「提案」をしていくことがIDの基本である。(肥田)
ユニバーサルデザイン
お年寄りや障害者、子供や妊婦など。全ての人に平等に使われることを前提に考えつくり出されたもの。1985年にロナルド・メイスによりそのための7項目が提唱され、90年代半ばより我が国においても広く使われている。現在ある製品の多くはユニバーサルデザインというよりは高齢者や障害者の方のためのものが多い。(清水)
これからの高齢者・障害者・健常者が共に生活できる豊かな社会の在り方を考えると「視・聴・触覚」に訴えることのみを前提としたモノ作りには限界があろう。
私の研究においては、「臭覚」に着目し、Universal Design(UD)に於ける『香り』の有効な活用を目指している。『香り』を伴うことにより、その機能をより確かに,またその目的をより心地良く達出来るモノ(生活用具や日常製品)の開発が必要である。(肥田)
医療機器デザイン
医療機器(検査、診断、治療等)の使用者は医師、看護師、技師等で、対象者は健康に不安を持っている一般の人々。Medical Equipment Design(MED)の基本は使用者には誤操作無く、正確且つ容易に使えて、対象者には不安を取り除き安心と信頼を与える事が重要である。(肥田)
構成学
造形におけるものの形態、色彩、構造、組み立て、計画、素材、質感、などの全般的な研究の事。造形全般の基礎基盤であるとともに、制作や理論研究を通じてそれ自体で、ひとつの研究領域となり新しいメディアやコミュニケーションのあり方などと相互関連して発展する基幹分野である。要素に戻し、再度構築していく、その方法論を研究する。(森)
デザイン基礎
理論と実技の両面からデザイン活動の基礎となる部分を探究する。理論的なアプローチとしては、近代以降のモダンデザインの成立を歴史的・文化的・社会的背景から概観考察し、現代へと繋がるデザインの概念を構築する。実技ではバウハウスの予備過程等に見られる、デザイン造形の基礎の部分を実践研究し、普遍性と応用性を探究する。(森)
グラフィックデザイン
視覚伝達デザインの中でも、紙媒体における印刷表現のデザイン。特に雑誌やカタログなどのページものの編集エデイトリアルデザインの実践的研究を中心に、冊子もののページ構成やレイアウトの基礎を研究する。また、印刷技術の応用としてシルクスクリーン印刷の技法の研究も実作品の制作を通じて行う。(森)
デザイン手法
デザインをするときの問題発見力や問題の解決力。テーマに対しての理解を深めるための調査・分析。必要条件を考え、よりよい解決を得るための思考・発想法。一つずつアイデアスケッチをすることから可能性を探り、評価検討し、決定する。更に、模型化、図面化、表現・伝達する技法など。(清水)
アイデアスケッチ
スケッチ力はデザイナ資質の要素としては大きい意味を持ち、スケッチが上手いということ、デザイナーとして要求される思考能力の多くを備え,視覚的に見せてくれると言う効果・・・。デザイン思索のプロセスを自他共に視覚的に見せることができる手法。そのアイデアスケッチの基礎をなすものがデッサン力。ものをつくるうえでよりよいもの、間違いのないものにするためのアイデアを描き止めておく。テーマを探り、解決するための思考の広さ、深さが極めて重要である。(清水)
産学共同
抱えている問題、テーマに対して、企業側は大学への財政的援助、生産活動の実務的体験学習の場を提供する。対して大学は知財と多様な研究人材を提供。その連携・産学協同で双方にメリットが生まれるというもの。デザインに於ける産学協同は大学・研究者と併せて、テーマに対する学生の若い発想・感性に期待するものが多い。(清水)
産業界と学問の府とが共同で一つのテーマに挑む。企業が抱えている問題に対して担当教員の指導のもとに解決案を提案する。デザインを学ぶ者にとってこんな実践的な体験は他に無い。テーマを掘り下げ、様々な調査、研究、更に徹底的な問題解決のためのデザイン展開、仮説提案、実験、検証、そして最終的なプレゼンテーション。ここで実社会のインダストリアルデザイナーの一端を知ることができる。(肥田)
デザイン開発におけるデジタルツール活用
現在、日本のみならず世界的にみてもコンピューター(以下PCと記す)はデザイン作業に欠かせないものとなっている。特に工業デザインの分野においては従来のデザイン図面である2次元ではなくPCを使った3次元設計(以下3DCADと記す)が通常となってきているが、一般のPCソフトウェアと違い工業デザイン作業に使用する3DCADソフトウェアは専門性が高く活用法も様々である。未だデファクトスタンダードのないこの分野の実社会での活用形態を調査すると共に実際のデザイン開発をとおして検証していく。(佐藤)
映像空間演出
映像(image)は、記憶の像、想像などを投影する表現行為である。映画やビデオなどの動画だけをさすのではなく、絵画や写真など視覚表現全般を含む。このようにさまざまな映像表現がある中で、映像空間演出とは、眼で見る体験としてだけではなく、公共空間の演出、展覧会デザイン、舞台演出など、身体的な体験の場を演出していく映像デザインを指す。(向井)
コミュニティデザイン・プロジェクト
芸術・文化を継続的に育て、コミュニケーション・ネットワークを広げていくことは、地域社会においてますます重要になってきている。自治体、教育機関、文化施設、地元住民などと連携しつつ、有形無形文化財などの文化資源を活用しながら、統合的にプロデュースする人材が期待されている。時代をこえて積み重ねられてきた地域の潜在的な価値を可視化、触知化する上で、デザインの果たす社会的役割は大きい。(向井)
美術情報学
芸術領域において、ユーザビリティの高いデータベースやデジタル・アーカイブは多くない。その背景には、多岐にわたる作品の形態や材質、専門領域ごとの学問的分類方法、歴史的価値基準の相違といったことがある。そのため、統一した分類フォーマットを作成しにくい。インフォメーション・アーキテクチャ(情報建築)に対する国内外の関心は高く、「もの」がもつ複合的な情報を柔軟に扱っていけるデザイナーの育成が急がれる。(向井)
こどもの遊び環境の構築
安全で魅力的な遊び空間をこども達に提供するための新しい方策を提案することを目的としている。児童公園、児童施設、身近な周辺環境の現地調査・分析や学識者との協働調査などから問題点を掲げ、具体的な改善策の提示し遊び環境の整備を行う。(桑原)
遊具開発
屋外・屋内を問わず、魅力的な遊具が無くなりつつある。こども達が自由奔放に遊び、遊びを通して好奇心や創造力、協調性を育める遊び環境を提供することが不可欠である。近年では、こどもから高齢者までが共に利用できる環境遊具の開発を行うことで、こども同士や親子の関係などが豊かに育まれる環境の検証が重要になっている。(桑原)
遊び環境デザイン協働教育プログラム
幼児・児童施設をより豊かな環境にするため、教育者や保護者の意見をもとに、環境調査や観察調査から具体的な提案を行う協働教育プログラム。近年では、学生のグループ制作として遊具を幼児施設に持ち込み、学生とこども達が遊具を通して触れ合う教育プログラムを実施している。学生達が遊具制作のプロセスから、社会に貢献するデザインの意味と価値を学び取ることが可能である。(桑原)
住宅設計
材料を吟味するときも、空間構成をスタディするときも一度、頭の中に描かれる抽象モデルを、いかに人間のレベルまで引き戻せるかが、大きな決め手となるのである。その行ったり来たりの道のりの中で、人間存在に関わる創造の道筋をデザインするのが、住宅設計といえるものである。(熊谷)
設計過程(デザインプロセス)
デザイン思考の全ては、その設計過程に表れる。近代の功罪のひとつは、このデザインプロセスを膠着(こうちゃく)させ、均質化させたこととも言える。現代に生きるデザイナーにとって、設計過程をどう捉えるかということこそ、そのデザイナーの独自性となり、真の創造の追求へと繋がっていくものであろう。建築をスタディすることは、設計過程を自己客観化の過程と位置付けている。(熊谷)
ディスプレイデザイン
ショーウィンドゥとは、都市空間における床の間のようなものである。企業や所有者の価値観や理念が見え隠れして、季節感だけでなく時代の旬な精神をも表わすものである。単に商品の広告ではなく、もてなしの心をも感じさせ、地域や企業の精神文化の成熟度にも呼応するリトマス装置とも言えるものである。(熊谷)